田中うさ東日本大震災記念絵画展

記者:淩美雪 / 台北報道

まず初めに、
「台湾の皆様には、日本の震災の時に温かいご支援をいただき、感謝しています。」と
日本の絵本作家 田中うささんは挨拶をし、
「私は、台湾の皆様に、絵を見ていただき、『震災で消えた小さな命展』を開催した意味を、深く理解していただきたいのです。」と話しました。

震災後、「被災した方たちのために何ができるのか?」と、田中うささんは考えました。
「昨年の10月、被災地へ伺ったのですが、自分の目で見た被災地は、想像を絶するものでした。
かつてそこに存在した全ての物が失われ、村や町は更地になり、津波によって、残酷な形で、全ての命が失われてしまいました。
人間以外の多くの動物たちも、虫も魚も鳥も植物も、命を失いました。
一番に感じたことは、たくさんの人たちが、ペットが亡くなったことを、自分の責任だと責めていたことです。
ペットを救うことができなかったと、責任を感じているのです。
また、避難先では、食べ物が足りなくて、動物たちが亡くなってしまうという悲しい出来事もありました。」

田中うささんはこう思っています。「ペットにとって飼い主は、一番の親友である」と。
「亡くなった動物たちは、親友である飼い主さんたちが、
自分のことで辛い思いをしていることを、きっと、とても心配しているでしょう。
動物たちと飼い主さんの心を、私たちが描く絵によってつなぐことができたら…。
そして、ペットを亡くした人の悲しみを多くの方たちに理解してもらえたら…。」とうささんは語ります。
「津波で亡くなったたくさんの人々の命も、亡くなった動物たちの命も、
その命を想う人にとっては、みんな等しく大切な命です。
時に、その命が、不平等に扱われてしまうことに、強い憤りを感じます。
『震災で消えた小さな命展』では、命の平等さについても伝えていきたいと思います。」とも語られました。

「58人の作家たちによる、ひとつひとつの絵の中には、それぞれの家族の物語が記録されています。」と田中うささんは話します。
作品は、在誠品敦南店地下2階のギャラリーに、5月27日まで展示されています。

*グレートデンの月神ちゃん(ムガちゃん。黒いワンちゃんの絵)の下の文章
「展示されている絵の1つ。震災にあった人々の悲しみを慰めることができますように…。」
(記者:淩美雪)

*うささんの写真の下の文章
田中うささん:「台湾のみなさまからの日本への震災援助に感謝しています。」とスピーチ。